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2006年5月19日 (金)

運動性検査

5月17日

1限、3限、4限でした。

1限と4限は、「WISCⅢについて」。吉松先生と花熊先生でした。

動作性検査の下位項目の説明でした。

「絵画完成」:有意味刺激の視知覚、細部への注意、本質と非本質の区別が必要な力となります。

本質と非本質の区別とは、知覚、認知された様々な要素の中から、何がもっとも重要で(本質的で)、何が末梢的なことかを見分ける力を意味します。

これは、日常生活(例:学校場面)でうまく行動できるかにも関係してきます。

この検査で得点が高いケースは、有意味刺激に強い、生活場面での判断や見通しがつくことが挙げられます。

逆に低いケースは、需要でない細部に気を取られやすいPDD(注意のシフトに問題がある)、細部の見通しが悪いADHD(不注意)

アスペルガー症候群の子どもは低学年では、空間認知力が弱いので、絵画完成の6番目などでは、ボールの位置について、ここが違うと指摘することがあります。

この検査での教授に関して、「足りないところを教えてください」というところを「おかしいところを教えてください」としてしまうと、回答がずれることがあるので、注意が必要です。

次に「符号」です。視覚的短期記憶、2段目をとばしてしまうようなことがない注意力、抽象的刺激の処理能力、微細運動機能(鉛筆を使う能力:枠の中に収まらなかったり、小さく書きすぎたりすることはないか)が必要な力です。

この検査の得点が高いケースは、高機能自閉症です、逆に低いケースは、抽象的刺激に弱い読み書きのLD、正確さにこだわりすぎるアスペルガー症候群、ADHD、運動が不器用な子どもが挙げられます。

符号と記号探しの得点が低い子は、かな文字の習得に困難を生じやすく、

これに加えて、積木模様の得点が低い子は、漢字学習にも困難を生じやすいです。

当然、板書の写しも難しいです。

符号が高くて記号が低い子の支援では、見本を上に置くと有効であり、

記号が高くて、符号が低い子の支援では、横に見本を置くと望ましいということが指摘されました。

さらにこの検査では視線の動きや使い方にも観察すると良いということです。上の見本を見ないで自分の書いたものを見て書いてしまう子は、一度間違えると全部間違えるのですが、効率を考えてしまうという傾向があります。

符号Aの方がBよりも、左右対称の能力を求められます。

ちなみに間違えたら、下に書いてよいよという教授があるので、忘れないこと。

次に「絵画配列」です。動作性検査では異質ですが、内言語力の高さ(文脈理解や構成、因果関係の理解、心情理解)、文脈統合能力、系列化・継次処理、社会的な理解が求められます。

内言語力:心の中で言葉で考える力

文脈統合能力:個々の要素を認識することに加えて、それらを一つのまとまりある全体として捉える力

継次処理・系列化:時間的な順序に即して捉え、配列していく力

この得点が高いケースは、社会性があり、具体的な刺激・場面に強い子です。逆に低いケースは、高機能自閉症(文脈的統合の力が弱い)、アスペルガー症候群でも虫食い(難しい問題はできるけれど優しい問題で躓く)、ADHDの子が挙げられます。

言語性の理解と絵画配列の得点が高い子は、社会性が高いと考えてよいそうです。

絵画配列の得点が低い子は、手順を考えるのが難しいのですが、高い子には手順を考えさせ、企画力を育ててあげる必要があります。

初回でないということが条件ですが、

教育的支援の観点からすると、どんな話かな、これって、と聞いてみることも大事です。

思考のパターンが把握できます。

次に「積木模様」です。図形的刺激の視知覚、空間処理能力、モデルがある場合の課題解決能力が求められます。

この検査の得点が高いケースは、高機能自閉症、逆に低いケースは、読み書き障害のあるLD、アスペルガー症候群です。

続いて「組み合わせ」です。この検査では、有意味刺激の視知覚への能力と、モデルがない場合の課題解決能力(方略を立てる)が求められます。

「積木模様」と「組み合わせ」を比較検査としてみることが大切です。

積木模様は、刺激は図形(抽象的刺激)、モデルあり

組み合わせは、刺激は具体的、モデルなし

これらの検査では、高機能自閉症が得点が高く、アスペルガー症候群の子どもは低いということが多いそうです。

アスペルガー症候群の一般的な特性としては以下のことがあげられます。

積木模様、組み合わせともに苦手なことが多いが、

2つの中では、積木の方が高い傾向があります。

原因は、空間認知の弱さ(日常生活では、物をなくす、見つけられない、整理整頓ができないとして表れるようです)

組み合わせの低さ(モデルがないと課題解決の方略が立てにくい)

積木の合わせ方で躓いている場合というのは、積木の数が変わったり、分割線がなくなったりするあたりが考えられます。特に4つの積木から9つになったときに、方略を立て直さないといけないのですが、同じ方略でしようとすることがあります。ので、9つでのやり方を考えようと促してあげることが必要です。

また、積木の合わせ方、左から組み立てるのか右からなのか、どこを分解しているのか、どれくらい試行錯誤しているのかを観察しておくと、認知の特性が分かるので、そこを手がかりに支援をしていくことが考えやすいです。

次は「記号探し」です。

抽象的記号の処理と、細部への注意、視覚的短期記憶が求められます。

これは符号とよく似た課題ですが、符号に比べて処理しなければいけない要素が多いです。

符号の得点に比べて、記号の得点が極端に低い子は、PDDの子に見られることが多いです。

中でも、アスペルガー症候群です。逆に高機能自閉症の子は高いことが多いそうです。

最後に「迷路」。見通し能力、非言語的思考、目と手の協応・微細運動機能が求められます。

見通し能力とは、行動を始める前に見通しを立てて行動を計画する力です。ここが良い子は、迷路の課題では、いきなり書き始めずにしばらくじっと見てから迷いなく書き出します。

逆に悪い子は、いきなり書き出し、試行錯誤的に取り組みます。

絵画完成(本質と非本質の区別)と迷路が、他の下位検査に比べて2つの得点が高い(年齢平均以上)子は、具体的場面では上手く行動できることが多いので、学習面での躓きでは見落とされることが多いです。

さらに、個人内で、言語性動作性の他の下位検査に比べて、迷路だけが極端に高い子は、自信を失いやすい、新しいことにしり込みしやすいという特徴があります。見通しが立ちやすいことがネガティブな方向で出てしまっているということです。

得点が低くなる下位検査

発達の躓き

符号、積木模様、記号探し

文字学習の困難

符号(誤り・作業量が少ない)

視覚的短期記憶が弱い

迷路(試行錯誤的で誤りが多い)

作業見通しが悪い

絵画完成(見つからない、違うところを間違える)

細部への注意の弱さ

本質を捉えることが弱い

絵画配列(特に心的内容)

社会的理解が弱い

組み合わせ(全体像がつかめない)

課題解決方略を立てられない

符号、迷路(はみ出し)

運動の不器用さ、粗雑さ

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